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ED70
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 北陸本線米原-敦賀間の電化工事は,当初直流電化の予定を交流電化に変更して単相20kV/60Hz仕様で進められ,同時に急勾配の難所であった柳ケ瀬トンネルをもつ木ノ本-鳩原間20.3kmが余呉・深坂トンネルによって新ルートに切り替わり,1957年10月1日,田村-敦賀間41.4kmが電化の運びとなりました。昭和31(1956)年度債務負担でED70 1-18号機がこの田村-敦賀間電化開業用に製作されました。製作は18両全機を三菱電機・新三菱重工が担当し,1957年6-9月に落成して敦賀機関区に配属されました。ED70形のベースは試作機ED45 1であり,ほぼ同一構造のまま大容量化されています。単機で10‰勾配上,重連で25‰勾配上の1,000t列車を引き出すことが命題であり,ED45 1に対し,軸重15.55t,総重量62.2tとして粘着重量増加を図り,主電動機も375kWのMT100に増強して連続定格出力を1,500kWに引き上げています。また,水冷式イグナイトロンを用いたGU20水銀整流器,および送油風冷式のTM910主変圧器もそれぞれ出力増に見合った容量増加を図っています。このED70形投入により,D51形単機による300t旅客列車が500tに,貨物列車もD51形重連による700tの定数がED70形重連で1,000tに広がりました。なお電化と同時に敦賀機関区は第一区と第二区に分離し,ED70形は敦賀第二機関区への配属となりました。ED70形は翌32年度債務負担によりED70 19号機が1両のみ誕生しています。ED70形の製造はこのED70 19号機でラストとなりました。ED70形は量産機とはいっても試作的な要素が強く,整流器トラブルをはじめ,三相補機の起動,クイル式駆動装置の異常振動に加え,空転の問題も発生し,ED70 19号機は粘着向上試験用に軸重16.0t化など対応策を盛り込んで製作されています。
形式 機関車番号 製造年月 製造所 予算名 主な仕様・履歴
ED70 1‐18 1957/6‐1957/9 三菱電機・新三菱重工 昭和31年度
債務負担
60Hz専用,全長14,260mm,運転整備重量62.2t,軸重15.55t
19 1959 三菱電機・新三菱重工 昭和32年度
債務負担
粘着向上試験ならびに東北本線黒磯-白河電化試験用,50/60Hz対応,全長14,460mm,運転整備重量64.0t,軸重16.0t
ED70 1
No.61-9
1984年7月25日
ED70 1
敦賀第二機関区
敦賀第ニ機関区に大切に保存されているED70 1号機。EF70を中心とした撮影会で美しく塗装された姿が披露され,ファンの注目を浴びていました。ED701号機は三菱電機・新三菱重工により1957年7月24日に落成し敦賀機関区(当時)に配置されました。傾斜した前面形状は同時期に製造された電気式ディーゼル機DF50に準じています。
(2023/02/22ワイド化)
No.61-12
1984年7月25日
ED70 1
敦賀第二機関区

前面の貫通扉は埋められていますが,北陸本線敦賀電化の記念碑としてきれいな状態で保存されています。
(2023/02/22ワイド化)

 2005年6月4日  ページ新設
 2023年2月22日 新製車一覧表を追加
 2023年2月22日 写真ワイド化完了
 2023年2月22日 キャプション欄左右入替完了
 2025年1月9日 Safariで半角数字列が電話番号リンクされるのを無効化


■参考文献
   交流・交直流電機出生の記録[2] 藤本勝久 鉄道ファン312 1987年4月号 交友社


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