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73系
 63系は1951年から1953年までに桜木町事故の対策を主な内容とした体質改善工事をおこない,モハ63形電装車はモハ73形制御電動車,またはモハ72形中間電動車に,またモハ63形未電装車はクハ79形100番台およびサハ78形300番台に改造・改番されました。一方,1952年度から1957年度にわたってモハ72形クハ79形が製造されました。この間にクハ79形の前面形状が変遷し,また車体の全金属化,窓のアルミサッシ化,行先表示器の設置など,後の新性能電車101系につながる進化が見てとれます。
■ 新製車
形式 番号 製造年度 主な仕様・履歴など
モハ72 モハ72500-72512 1952 中間電動車,63系モハ63855-63858に準じた20m級切妻車体,1,000mm幅片開き扉片側4箇所の構造,戸袋窓は木枠支持,屋根高さは63系の3,720mmから3,650mmに変更
モハ72513-72552 1953 戸袋窓Hゴム支持
モハ72553-72609 1954 電動発電機容量2kW→3kWにアップ
モハ72610-72648 1955 車内に扇風機取り付け,パンタグラフ非搭載側に構内運転用簡易運転台設置,後部標識灯設置,妻部窓Hゴム支持,主電動機MT40Bに変更
モハ72649-72685 1956 1次車
モハ72686-72718 1956 2次車,鋼板張り屋根採用,台車をモハ80と同じDT20Aに変更
モハ72850-72864 1956 中央東線の狭小トンネル対策として屋根高さを3,514mmにした低屋根車
モハ72920-72924 1956 軽量構造全金属車体の量産先行車,ノーシル・ノーヘッダー,車内電灯はグローブ2列
モハ72925-72963 1957 全金属車体量産車,ノーシル・ノーヘッダー,車内電灯は蛍光灯2列
クハ79 クハ79300-79314 (偶) 1952 制御車,63系モハ63855-63858に準じた20m級切妻車体,1,000mm幅片開き扉片側4箇所の構造,前面窓,戸袋窓は木枠支持,,屋根高さは63系の3,720mmから3,650mmに変更,奇数(上り)向きにはモハ63改造のモハ73形を充てるため全車偶数(下り)向き
クハ79316-79352 (偶) 1953 戸袋窓,前面窓,運行番号表示窓Hゴム支持,前面向かって左側の2段窓もHゴム支持,79350,79352は前面窓5度傾斜させ上部の段差に通風口設置
クハ79354-79390 (偶)
クハ79301-79335 (奇)
1954 前面窓傾斜10度に変更,窓上下補強帯廃止,正面窓部分を窪ませたデザインに変更
クハ79392-79420 (偶)
クハ79337-79387 (奇)
1955 車内に扇風機取り付け
クハ79422-79436 (偶)
クハ79389-79419 (奇)
1956 1次車,前照灯を幕板上部への埋込式に変更
クハ79438-79488 (偶)
クハ79421-79467 (奇)
1956 2次車,鋼板張り屋根採用
クハ79920-79923 1956 軽量構造全金属車体の量産先行車
クハ79924-79949
クハ79951-79955 (奇)
1957 全金属車体量産車,ノーシル・ノーヘッダー,車内電灯は蛍光灯2列
■ 改造車 (63系からの改造編入)
改造後形式番号 欠番有 種車形式・両数 改造年度 改造・改番内容
モハ72001-72181 モハ63形 168両 1951-1953 運転台撤去,客室化し貫通路設置,中間電動車化,初期改造,種車の向きのまま改造
モハ72200-72319 モハ63形 120両 1951-1953 後期改造,種車の向きに関わらず全て奇数設計に揃えて改造
モハ73001-73403 モハ63形 283両 1951-1953 運転台存置,種車の向きを生かして偶数・奇数を付番,63856-63858は1950年度新製のため更新修繕無しで73400-73403に改番
クハ79100-79250 (偶) モハ63形 76両 1951-1953 未電装で落成した[サ]モハ63(付随車代用),[ク]モハ63(制御車代用)96両のうち下記サハ78に改造した20両を除く76両につき運転台機器を整備しクハ79100-79250,全車偶数向きかつ偶数番号に編入
サハ78304-78395 モハ63形 20両 1951-1953 未電装で落成した[サ]モハ63(付随車代用),[ク]モハ63(制御車代用)96両を全車中間付随車化する予定であったが計画変更で76両をクハ79100-79250に改造したためサハ78300番台は欠番多数となった
モハ62000-62001
モハ62500-62503
クモハ73012・73172
モハ72533・72569・72576・72632
1974 モハ73→クモハ73(1959年称号改正),身延線向け113系同様の3扉セミクロスシート中間電動車に改造,スカ色,半自動扉
クハ66000-66002
クハ66300・66301・66303
クハ79236・79186・
クモハ73118・クハ79373・79423・79439
1974 身延線向け113系1000番台同様の3扉セミクロスシート制御車に改造,スカ色,半自動扉,000-002は種車の台車流用,300・301・303はTR48に変更
■ 改造車 (モハ72種車 撮影分のみ)
 クモヤ90 クモヤ91 クモユニ74 クモニ83
モハ73001-73403
No.N8304-9
1983年3月6日 7:37
手前 クモハ73027-クハ79
+クモハ73-クハ79
726M 横川行き
可部線 三滝


ロクサンの車体更新車であるクモハ73027先頭の上り4連が太田川沿いの三滝駅に進入。大鉄形ベンチレータが付いています。
(2023/03/19ワイド化)
No.N8304-16
1983年3月6日 11:11
手前 クモハ73027-クハ79
+クモハ73-クハ79
734M 横川行き
可部線 中島→上八木
橋梁の北側から上り列車を撮影。ネガ劣化のためいろいろ色調整と周囲トリミングしています。三滝で撮影した726Mと同じ編成です。
(2023/03/19追加)
No.N8304-17
1983年3月6日 11:46
手前 クモハ73041-クハ79
733M 可部行き
可部線 中島←上八木
運行番号表示窓が2桁という原形クモハ73041。モハ63時代の車体構造を色濃く残しています。
(2023/03/20追加)
No.21-5
1983年8月28日
手前 クモハ73117-クハ79934
+クモハ73013-クハ79928
富山港線 城川原→蓮町
クモハ73を最後尾にした下り4連を追い写し。右側は蓮町にあった貨車操車場と富山操を結んでいた蓮町貨物線です。
(2023/03/19ワイド化)
No.21-6
1983年8月28日
手前 クモハ73117-クハ79934
+クモハ73013-クハ79928
富山港線 城川原
サルビアの咲く城川原に進入する上り4連。
(2023/03/19ワイド化)
クハ79316-79352 (偶)
No.N8304-13
1983年3月6日 9:27
手前 クハ79328-クモハ73001
+クハ79-クモハ73
729M 可部行
可部線 上八木→中島
太田川の鉄橋を渡る4連。先頭のクハ79328は1953年度製で,戸袋窓,前面窓,運行番号表示窓をHゴム支持
とし,前面の向かって左側の2段窓もHゴム支持しています。窓の傾斜はまだないタイプです。一方側面は3段窓を維持しています。
(2023/03/19ワイド化)
No.1-35
1983年3月6日 9:27
手前 クハ79328-クモハ73001
+クハ79-クモハ73
729M 可部行
可部線 上八木→中島
NikomatFT2,50mmf/1.4s,コダクローム64で撮影したバージョン。40年経過してからスキャンしていますが,上のネガに比べてコントラストがよく出ています。右側の鉄骨は54号線の太田川橋です。
(2023/03/19追加)
クハ79354-79390 (偶)
No.N8304-14
1983年3月6日 10:12
手前 クハ79370-クモハ73
+クハ79-クモハ73
732M 横川行
可部線 上八木←中島
このクハ79370は1954年度製で,前面窓は10度の傾斜を持った形状にするとともに,窓上下の補強帯が廃止され正面窓部分を窪ませたデザインに変更されました。窓を傾斜させることにより生じる窓上部の窪みに換気口が設けられています。側面は3段窓,前照灯は屋根取付タイプとなっています。
(2023/03/19ワイド化)
No.1-36
1983年3月6日 10:12
手前 クハ79370-クモハ73
+クハ79-クモハ73
732M 横川行
可部線 上八木←中島
上と同じ732Mを追い写し,コダクローム64で撮影したバージョン。
(2023/03/19追加)
クハ79438-79488 (偶)
No.N8304-11
1983年3月6日 8:36
手前 クハ79466-クモハ73313
+クハ79-クモハ73
2730M 海田市行
可部線 上八木←中島


クハ79466を最後尾にした横川行き4連。1956年度製造の2次車で,1956年度車からは前照灯を幕板上部への埋込式に変更されています。また鋼板張りの屋根が採用されました。
(2023/03/19ワイド化)
No.N8304-15
1983年3月6日 10:44
手前 クハ79466-クモハ73
+クハ79-クモハ73
2731M 可部行
可部線 上八木→中島
12キロポストにて可部行き2731M,クハ79466のアップ。正面はHゴムの傾斜した3枚窓,埋込形ヘッドライトですが縁取りのように雨樋があり,また方向幕がなく正面にサボ受が付いています。サイドは三段窓。N8306-11で撮影した2730Mと同じ編成で,海田市まで行って戻ってきました。
(2023/03/19ワイド化)
クハ79924-79949
No.19-36
1983年8月28日
クハ79928-クモハ73013
+クハ79934-クモハ73117
富山港線 岩瀬浜
クハ79928先頭の4連が岩瀬浜の水路沿いをゆく。クハ79924からクハ79949は1957年度に製造された最終ロットで,前年の1956年度からは10系客車をベースにした軽量構造全金属車体が採用されており,1957年度車は全金属車体の量産車にあたります。ノーシル・ノーヘッダー,となっており,車内電灯は蛍光灯2列となりました。
(2023/03/19ワイド化)
No.19-37
1983年8月28日
手前 クハ79928-クモハ73013
+クハ79934-クモハ73117
富山港線 岩瀬浜
上と同じ編成です。クハ79920以降のクハ79は全金属車体となっており,屋根の曲率が緩くなっています。モハ63を改造したクモハ63とは製造年代が異なり,クモハが低く見えます。
(2023/03/19ワイド化)

No.21-01
1983年8月28日
クハ79939
富山港線 城川原
この地には富山第一機関区城川原派出所が置かれていました。このクハは偶数向きに方転されており,クハ79939と見られます。この時点で留置車です。
(2023/03/19ワイド化)
No.21-02
1983年8月28日
クハ79939
富山港線 城川原



方転されている留置車。本ページではモハ63から1957年度のクハ79まで,20mロングシート4扉車の顔の変化を見てきました。国鉄の通勤電車はこのあと101系,103系へとバトンを渡しながら進化を続けていくことになります。
(2023/03/19追加)
No.21-4
1983年8月28日
庫内 クハ79920,クハ79922
駅 クハ79928-クモハ73013
+クハ79934-クモハ73117
富山港線 城川原
安全第一を掲げた2線の庫が見えます。庫から顔が見えているのはクハ79920とクハ79922
窓から写真を撮っているファンの姿も。200mmで撮影。
(2023/03/19ワイド化)
クハ66300・66301・66303
No.64-23
1984年8月1日
中央 クハ66303
左 クモル23050
浜松機関区
パッと見113系と思いますが密連の形が古いので違和感があります。クハ66形・モハ62形は1974年に身延線向けにクモハ73形,モハ72形,クハ79形を種車にアコモ改造された系列で4両編成3本が改造されました。
(2023/04/21追加)

【可部線】 撮影時点の在籍車両と特徴
クモハ73001 平面 埋込前照灯 側面2段窓
クモハ73009 平面 中央窓縦長 運転士窓下通風孔長方形 方向幕無 サボ受有 鋼体強化 塗分なし 中央窓縦長 方向幕無 サボ受有
クモハ73021 平面 中央窓縦長 運転士窓下大鉄形ベンチレータ 方向幕有 サボ受無 パンタ紐有 デフロスタ付 正面塗分無エッジまで朱色
クモハ73027 平面 側面2段窓 正面塗分縁取有 埋込前照灯 紐有 大鉄形ベンチレータ 方向幕有 サボ受け無
クモハ73041 平面 運行番号表示窓2桁 <733M>
クモハ73061 正面未改造 運行番号表示窓3桁 側面2段窓
クモハ73169 正面未改造 塗分枠有 運行番号表示窓3桁
クモハ73259 平面 中央窓縦長 塗分無エッジまで朱色 方向幕無 サボ受有 長方形通風孔左右2箇所有 側面2段窓
クモハ73313 平面 旧タイプ シルヘッダー付き2段窓 運行番号表示窓3桁
クモハ73383 正面未改造 取付前照灯 側面2段窓 運行番号表示窓3桁

クハ79004 平面 取付前照灯 側面2段窓 シルヘッダー有
クハ79214 平面 取付前照灯 側面2段窓 シルヘッダー有 中央窓下サボ受有 左下にジャンパ連結器2個有
クハ79308 平面 取付前照灯 側面2段窓 シルヘッダー有 中央窓下サボ受無 ジャンパ連結器無 大鉄形ベンチレータ付
クハ79312 平面 取付前照灯 側面2段窓 助士席窓未改造□,中央窓Hゴムで運転席窓より大,サボ受無 ジャンパ連結器無
クハ79326 平面 取付前照灯 側面3段窓 助士席窓2段楕円Hゴム
クハ79328 平面 取付前照灯 側面3段窓 戸袋窓Hゴム <729M>
クハ79370 傾斜 取付前照灯 側面3段窓 戸袋窓Hゴム内側3段 <732M>
クハ79446 傾斜 埋込前照灯 側面3段窓 戸袋窓Hゴム内側3段 サボ受に縦横の桟有
クハ79466 傾斜 埋込前照灯 側面3段窓 戸袋窓Hゴム内側3段 サボ受有 <2730M>
クハ79501 傾斜 埋込前照灯 側面2段窓 戸袋窓Jゴム 運転室窓デフロスタ

【富山港線】 撮影時点の在籍車両と特徴
クモハ73013 方向幕有,<編成中間 撮影>
クモハ73043 方向幕無,正面窓左右に高圧配線有り
クモハ73049 方向幕無,大鉄形ベンチレータ有,運転席上手摺無 標識灯下ステップ無
クモハ73117 方向幕無,助士席側ワイパ追設 運転席上手摺有 標識灯下ステップ有<編成先頭 撮影>
クモハ73195 方向幕有 運転席下長方形通風孔有

クハ79920 中央窓下に・・ 手摺下中央に・有 <庫内待機・撮影>
クハ79922 中央窓下に・・ 手摺下中央に・有 <庫内待機・撮影>
クハ79928 <先頭 撮影>
クハ79934 <編成中間 撮影>
クハ79939 <留置車 撮影>

 2007年9月30日 ページ新設
 2023年3月19日 キャプション欄左右入替完了
 2023年3月19日 写真ワイド化完了
 2023年3月29日 63系新製車一覧表を追加
 2023年3月31日 73系新製車一覧表を追加
 2023年4月1日 63系から73系への改造車一覧表を追加
 2023年4月2日 写真掲載順を富山港線・可部線の時系列から形式番号毎に変更
 2023年4月2日 新製車一覧表および改造車一覧表の形式番号から写真へのリンクを設置
 2023年4月3日 Safariで半角数字列が電話番号リンクされるのを無効化
 2023年4月7日 63系ページを新設し内容分離


■参考文献
 沢柳健一 旧型国電50年(T) JTBキャンブックス
 沢柳健一 旧型国電50年(U) JTBキャンブックス


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