函館市電 [函館市企業局交通部]
 函館市電は1897年に亀函(きかん)馬車鉄道として設立,翌1898年から函館馬車鉄道として運営されていました。1911年に発電会社である函館水電が経営を引き継いで電化し,北海道初の路面電車として運行を開始しています。その後,1934年8月に帝国電力,1940年8月に大日本電力,1943年2月に電力統制で道南電気鉄道に譲渡,1943年11月から陸運統制令により函館市が経営を行ってきました。2011年まで函館市交通局の名称でしたが,交通局と水道局が統合され,同年4月から函館市企業局交通部となっています。馬車鉄道由来のため軌間は1,372mmで,電気方式はDC600V,架空電車線方式となっています。
■ 路線
路線名 区間 営業キロ 駅数 電化開業日 備考
本線 函館どつく前‐函館駅前 2.9km 7 1913年10月31日 1914年10月31日全線電化
大森線 松風町‐函館駅前 0.5km 2 1914年10月31日  
湯の川線 松風町‐湯の川 6.1km 16 1913年6月29日 北海道初の路面電車(東雲線東雲町‐松風町‐湯川)
宝来・谷地頭線 十字街‐谷地頭 1.4km 4 1913年10月31日 1914年5月1日宝来町‐谷地頭間開業
本線 ガス会社前‐五稜郭駅前 1.6km 5 1954年11月21日 1955年11月27日全通,1978年11月1日廃止
本線 函館駅前‐ガス会社前 1.8km 6 1914年10月31日 1925年10月1日全通,1993年4月1日廃止
東雲線 松風町‐宝来町 1.6km 8 1913年6月29日 1913年10月31日全線電化,1992年4月1日廃止
宮前線 ガス会社前‐五稜郭公園前 1.6km 6 1950年9月14日 1951年7月1日全通,1993年4月1日廃止
駅数は2024年現在・紀終点を含む,計26,上記は電気鉄道としての開業日
■ 主な車両 (撮影済系列のみ)
形式 車両番号 車両数 入線時期 特徴・経歴
30形 39 1 1993 除雪車(ササラ電車)排2号を旅客車に復元,種車は1910年製旅客用2軸単車,主電動機37.3kWx2,直接制御,車両定員30名
500形 501‐530 30 1948‐1950 戦後初の新造車,日本車輌製,車体長13,050mm,主電動機37.3kWx2,吊り掛け駆動,直接制御,車両定員80名
710形 711‐724 14 1959‐1961 700形ベース,前扉は2枚引戸,中扉は片開き2扉,側窓は上窓Hゴム固定,下窓上昇式のバス窓,全長12,240mm,主電動機50kWx2,吊り掛け駆動,間接自動制御,車両定員90名
800形 801‐812 12 1962‐1965 車体・性能は710形に準じる,間接非自動制御
2000形 2001 2002 2 1993・1994 アルナ工機製,初のVVVFインバータ制御車,主電動機60kWx2,平行カルダン駆動,全長12,320mm,車両定員58名
3000形 3001‐3004 4 1993‐1996 2000形を基本とした車体構造,冷房装置,回生ブレーキ搭載,側窓一段下降式,主電動機60kWx2, VVVFインバータ制御,平行カルダン駆動,車両定員88名
8000形 8001‐8010 10 1990‐2012 800形(除807・812)の車体更新車,降車扉を引戸から折戸に変更,ステップ3段,砂撒き装置搭載,前面は1枚窓,側面は上段下降・下段上昇式2段窓,主電動機50kWx2,吊り掛け駆動,車両定員80名
8100形 8101 1 2002 800形807号の車体更新車,アルナ車両製,車椅子対応の部分低床車,全長12,390mm,主電動機50kWx2,吊り掛け駆動,車両定員60名
30形 39
No.D700_170831‐124
2017年8月31日
30形 39号
湯の川線 駒場車庫



出庫前に待機する39号。種車は1910年製造の2軸単車で,1937年に排雪用のササラ電車,排2号に改造されていましたが,市制70周年記念事業の一環で1993年に旅客車として復元されました。
No.D700_170831‐139
2017年8月31日
30形 39号
湯の川行
湯の川線 湯の川温泉←函館アリーナ前
温泉旅館が立ち並ぶ湯の川をゆく39号。
No.D700_170831‐143
2017年8月31日
30形 39号
函館どつく前行
湯の川線 湯の川温泉
湯の川


湯の川で折り返し,どつく前の方向幕で走行する39号。写真は背景にあったドラッグ店の派手な看板を画像処理で消しています。
No.D700_170831‐156
2017年8月31日
30形 39号
湯の川線 駒場車庫



午後の仕業に向け出庫する39号。"函館はいから號"の金文字が入っています。また集電はZパンタによっていますが,2本のトロリーポールも取り付けられています。
No.D700_170831‐157
2017年8月31日
30形 39号
湯の川線 駒場車庫



ダブルルーフ,赤とアイボリーのおしゃれな塗色,救助網もしっかりしています。
No.D700_170831‐158
2017年8月31日
30形 39号
函館どつく前行
湯の川線 駒場車庫前


女性車掌さんも乗り込んで出発。台車はブリル21E‐1。
No.D700_170831‐159
2017年8月31日
30形 39号
函館どつく前行
湯の川線 競馬場前←駒場車庫前


サイドのRが美しい。なお,柏木町電停と湯の川温泉から命名された鉄道むすめ"柏木ゆの"はこの函館ハイカラ號の車掌キャラクターです。
500形 501‐530
No.D700_170831‐123
2017年8月31日
500形 530号
湯の川線 駒場車庫
出庫準備をする530号。扉が閉められノッチが入れられて仕業に就きます。500形は日本車輌東京支店蕨工場で1948年から1950年にかけ30両製造されました。530号は1950年11月に製造された最終ナンバー。
(2024/05/18シャドー調整)
No.D700_170831‐128
2017年8月31日
500形 530号
5系統 湯の川行
湯の川線 駒場車庫前
500形の原形を留める貴重な530号。ワンマン化改造により,3扉のうち後部の扉が埋められています。塗色は上半部がマンチュアサンドライト,下半部がマジュルカブルーのツートンに塗られ美しい姿を誇っています。
No.D700_170831‐130
2017年8月31日
500形 530号
5系統 湯の川行
湯の川線 駒場車庫前
車庫から駒場車庫前電停の湯の川方面への本線に入り,方向幕セット中の530号。ローアングルで迫ってみました。
No.D700_170831‐135
2017年8月31日
500形 530号
2系統 湯の川行
湯の川線 駒場車庫前→函館アリーナ前
函館アリーナに向かう530号。大型のナンバー表記,迫力があります。
710形 711‐724
No.D700_170830‐059
2017年8月30日
710形 718号
5系統 湯の川行
湯の川線 中央病院前→五稜郭公園前
五稜郭公園前のカーブを回る718号。710形は1959年から1961年に14両が新潟鐵工所で製造され,2017年現在でも主力となっています。
No.D700_170831‐115
2017年8月31日
710形 718号
湯の川線 駒場車庫



5系統湯の川・増車の札を入れ出庫準備をする718号
(2024/05/18追加)
No.D700_170830‐045
2017年8月30日
710形 719号
2系統 谷地頭行
湯の川線 中央病院前←五稜郭公園前
1960年5月製造の719号,登場時の標準塗色である,上半部アイボリー,下半部アイスランドグリーンのツートンに塗られています。
No.D700_170830‐049
2017年8月30日
710形 719号
2系統 谷地頭行
湯の川線 中央病院前←五稜郭公園前
電車専用の信号に従って五稜郭公園前のカーブを曲がる719号。1993年以前は五稜郭公園(写真右側)からガス会社前(写真左側)に直進するルートが存在していました。
No.D700_170831‐154
2017年8月31日
710形 719号
2系統 谷地頭行
湯の川線 競馬場前←駒場車庫前
谷地頭行きの2系統運用に入る719号。オリジナル塗装車輌は貴重。
No.D700_170830‐041
2017年8月30日
710形 720号
5系統 湯の川行
湯の川線 中央病院前→五稜郭公園前
五稜郭公園前の交差点で信号待ちの720号。
No.D700_170830‐012
2017年8月30日
710形 721号
5系統 函館どつく前行
湯の川線 杉並町→五稜郭公園前
五稜郭公園前の繁華街をゆく721号。側面の方向幕は塞がれて局章と車番を表示しています。
No.D700_170830‐005
2017年8月29日
710形 723号
2系統 谷地頭行
湯の川線 松風町
夜の松風町電停に停車中の723号
(2024/05/18追加)
No.D700_170831‐170
2017年8月31日
710形 724号
5系統 函館どつく前行
湯の川線 堀川町→昭和橋
堀川広路の緑をバックに走る724号。
800形 801‐812
No.D700_170830‐019
2017年8月30日
800形 812号
5系統 湯の川行
湯の川線 杉並町←五稜郭公園前
五稜郭公園前電停を出る湯の川行き812号。800形は801‐812の12両が存在しましたが1990年から11両が8000形,8100形に車体更新されており,オリジナルな姿ではこの812号が孤軍奮闘しています。
No.D700_170829‐009
2017年8月29日
800形 812号
5系統 湯の川行
湯の川線 松風町



夜の松風町に停車中の812号
(2024/05/18追加)
No.D700_170830‐067
2017年8月30日
800形 812号
5系統 函館どつく前行
湯の川線 中央病院前←五稜郭公園前
朝の市街地をゆく812号。
No.D700_170831‐086
2017年8月31日
800形 812号
5系統 湯の川行
湯の川線 杉並町
杉並町電停に停車中の812号。
No.D700_170831‐088
2017年8月31日
800形 812号
5系統 湯の川行
湯の川線 杉並町→柏木町
柏木町に向け加速。
No.D700_170831‐172
2017年8月31日
800形 812号
2系統 湯の川行
湯の川線 堀川町→昭和橋
堀川広路の緑をバックに。
2000形 2001 2002
No.D700_170830‐077
2017年8月30日
2000形 2002号
5系統 湯の川行
湯の川線 中央病院前→五稜郭公園前
コカコーラの広告電車となっている2002号。2000形は函館市電初のVVVFインバータ車として1993年に2001号,1994年にこの2002号が製造されました。
(2024/05/18追加)
No.D700_170831‐149
2017年8月31日
左 2000形 2002号
右 8000形 8007号
湯の川線 駒場車庫
駒場車庫で待機する2002号と8007号。
(2024/05/18追加)
3000形 3001‐3004
No.D700_170829‐002
2017年8月29日
右 3000形3001号 函館どつく前行
左 8000形8008号 湯の川行
湯の川線 松風町
松風町電停で顔を合わせた3001号と8008号。3000形の車体構造は2000形をベースとしており,冷房装置と回生ブレーキを搭載しています。
(2024/05/18追加)
No.D700_170831‐086
2017年8月31日
3000形 3002号
2系統 谷地頭行
湯の川線 五稜郭公園前←杉並町
杉並町付近を走る3002号。3000形は冷房装置を標準装備として搭載しています。
(2024/05/18追加)
No.D700_170830‐023
2017年8月30日
3000形 3003号
2系統 湯の川行
湯の川線 中央病院前→五稜郭公園前
1995年3月に製造された3003号,全面広告電車となっていいます。
(2024/05/18追加)
No.D700_170830‐075
2017年8月30日
3000形 3003号
2系統 谷地頭行
湯の川線 中央病院前←五稜郭公園前
五稜郭公園入口の交差点でカーブする3003号。
(2024/05/18追加)
No.D700_170831‐162
2017年8月31日
3000形 3003号
湯の川線 駒場車庫
湯の川行きとして出庫を待つ3003号。
(2024/05/18追加)
No.D700_170830‐025
2017年8月30日
3000形 3004号
2系統 谷地頭行
湯の川線 中央病院前←五稜郭公園前
1996年3月にアルナ工機で製造された3000形のラストナンバー3004号。
(2024/05/18追加)
8000形 8001‐8010
No.D700_170830‐033
2017年8月30日
8000形 8001号
5系統 谷地頭行
湯の川線 中央病院前←五稜郭公園前
8000形は800形の機器を利用し車体のみを新製して誕生した車体更新車で,1990年から1997年までに800形12両のうち10両が更新されました。
(2024/05/18追加)
No.D700_170831‐147
2017年8月31日
8000形 8001号
5系統 函館どつく前行
湯の川線 駒場車庫前←函館アリーナ前
1990年3月に803号の車体を更新して誕生した8001号,左は駒場車庫前電停。
(2024/05/18追加)
No.D700_170831‐098
2017年8月31日
8000形 8006号
5系統 湯の川行
湯の川線 杉並町→柏木町
杉並町を発車し柏木町に向かう8006号,1994年3月に805号の車体更新で誕生しました。
(2024/05/18追加)
No.D700_170830‐063
2017年8月30日
8000形 8007号
5系統 湯の川行
湯の川線 中央病院前→五稜郭公園前
1997年3月に806号の車体を更新して誕生した8007号
(2024/05/18追加)
No.D700_170830‐166
2017年8月31日
8000形 8007号
5系統 湯の川行
湯の川線 昭和橋←千歳町
亀田川を渡る8007号。後ろの派手な看板は彩度を下げました。
(2024/05/18追加)
No.D700_170830‐028
2017年8月30日
8000形 8008号
5系統 湯の川行
湯の川線 中央病院前→五稜郭公園前
1997年3月に809号のの車体更新で誕生した8008号
(2024/05/18追加)
No.D700_170831‐092
2017年8月31日
8000形 8008号
2系統 湯の川行
湯の川線 杉並町
杉並町電停に停車中の8008号
(2024/05/18追加)
No.D700_170831‐161
2017年8月31日
8000形 8010号
2系統 湯の川行
湯の川線 駒場車庫前→函館アリーナ前
2012年12月に811号のの車体更新で誕生した8010号。
(2024/05/18追加)
8100形 8101
No.D700_170830‐035
2017年8月30日
8100形 8101号
2系統 湯の川行
湯の川線 中央病院前←五稜郭公園前
2002年3月に807号の車体更新として製造された8101号,部分低床車で車椅子の乗降に対応しています。
(2024/05/18追加)

 2017年9月10日 ページ新設
 2024年5月17日 路線表記載内容追加・見直し
 2024年5月17日 Safariで半角数字列が電話番号リンクされるのを無効化
 2024年5月18日 700形,800形,2000形,3000形,8000形,8100形の写真を追加
 2024年5月18日 キャプション記載内容見直し
 2024年5月18日 主な車両表(撮影積系列のみ)を追加
 2024年5月18日 主な車両表から写真へのリンクを設置


■参考文献
 今尾恵介 日本鉄道旅行地図帳 1号 北海道 新潮社
 Wikipedia 函館市企業局交通部


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