国鉄では1957年6月,新機軸をふんだんに盛り込んだ新性能電車のさきがけとしてモハ90系 (1959年の車両形式称号規程改正で101系に改称) 通勤形直流電車を開発しました。この技術をベースに特急用のモハ20系(151系)を開発,1958年に急行形として生まれたのが153系です。称号改正以前はモハ91系と呼称されました。153系は,80系湘南電車で運転されていた準急「東海」「比叡」に置き換わりました。当初は準急用ということでサロは回転式シートのサロ153でした。1960年6月1日改正で東海道本線の急行「せっつ」に続き,1961年3月1日には「なにわ」が誕生,ビュフェを持つサハシ153とリクライニングシートを備えたサロ152が組み込まれています。増備途上で当時多発していた踏切事故対応のため,Tc車を高運転台形に設計変更し,500番台が誕生しました。この形態は113系や165系など国鉄形の顔となりました。153系は当初ビュフェ室にのみキノコ形の冷房装置AU12が設置されていましたが,サロから冷房化が進展しました。新幹線の延伸とともに,急行,準急や新快速,各駅停車まで時代に応じて幅広く活躍しました。 |
■ 新製車 |
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形式 |
番台区分 |
番号 |
製造年 |
主な仕様相違点 |
モハ153 |
- |
1-161 |
1958-1962 |
主電動機MT46A,主制御器,主抵抗器搭載,全席固定クロスシート,ユニット窓,トイレ設置,定員84名,1-23はモハ91001-91045(奇数)として落成 |
モハ152 |
- |
1-161 |
1958-1962 |
主電動機MT46A,パンタグラフ,空気圧縮機(CP),電動発電機(MG)搭載,全席固定クロスシート,ユニット窓,トイレ設置,定員84名,1-23はモハ91002-91046(偶数)として落成 |
クハ153 |
0番台 |
1-80 |
1958-1961 |
低運転台形,密着連結器の両側に制御用KE57Aジャンパ連結器2基を備える両渡り構造,冷房改造車は電源用110kVA MG搭載,引き通しのため向きを固定,定員76名,1-22はクハ96001-96022として落成 |
500番台 |
501-557 |
1961-1962 |
高運転台形,踏切事故対策で運転台位置を300mm高く変更 |
サハ153 |
0番台 |
1-11 |
1960-1961 |
モハ153と同一車体の付随車,定員86名,MG,CP無し |
100番台 |
101-116 |
1958-1961 |
CP搭載,101-106はサハ97001-97006で落成,称号改正でサハ153-1 - 6(初代)に改番,1959年に7-10が追加,1960年3月9日に101-110に改番,1960-61年に112-116増備 |
200番台 |
201-221 |
1960-1962 |
MG,CP搭載,冷房化改造時110kVA出力MGに交換, |
サロ153 |
0番台 |
1-59 |
1958-1962 |
回転クロスシート,定員60名,1-10はサロ95001-95010として落成, |
200番台 |
201-203 |
1960-1961 |
湘南準急付属編成用,MG,CP搭載,201は13を1960年に改造して誕生 |
900番台 |
901・902 |
1958 |
外板をステンレス鋼を使ったセミステンレス試作車,無塗装で落成 |
サロ152 |
- |
1-30 |
1961-1962 |
「なにわ」「せっつ」向けに製造,リクライニングシート・2連形バランサ付1段下降窓採用,回送運転台装備,定員48名 |
サハシ153 |
- |
1-30 |
1961-1962 |
2等ビュフェ合造車,前位寄りに定員36名の客室,後位寄りにカウンター,冷蔵ケース等を備えた設備搭載,寿司コーナーも設置,15は1974年にクヤ165-1に改造 |
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