ED76
基本番台 500番台 550番台 1000番台

ED76 501-509 昭和42(1967)年度第2次債務にて,函館本線小樽-滝川間電化開業用として誕生しました。北海道の電化に際しては,先の昭和40年度第2次債務にてED75 501が試作され,各種の性能試験を実施しましたが,全面的なサイリスタの採用には通信誘導障害の課題があり,量産設計では一歩後退したタップ切換器を復活させ,マグアンプをサイリスタに置き換えるにとどめています。また,道内では蒸気暖房方式が採られているため,SGを搭載し,石炭列車など重量列車の牽引も視野に入れ重連総括制御方式を採用しました。そこで,重連総括形ではありますが,SG搭載やB-2-Bの軸配置などの共通性からED76を名乗り,北海道用の500番台区分とされました。主シリコン整流器が主サイリスタのRS33と主ダイオードのRS34を新規開発して搭載しています。主変圧器も小型軽量のTM16を,タップ切換器もLTC-4低圧タップ切換器と組み合わせています。制御方式は,主変圧器の2次側をタップ切換器が13ステップに刻み,その中間電圧を2組のサイリスタが連続位相制御するほか,弱め界磁制御を加えています。運転席の主幹制御器はMC109系の応用となりMC109Cとして搭載されています。九州のED76はマグアンプで位相制御するためED76Mと呼称されるのに対し,この500番台はサイリスタで位相制御するためED76Sと呼ばれます。台車は,ダブルシリンダの耐雪ブレーキ装置付きDT129R・Sとなり,中間従台車も同じブレーキが付いたTR103Fが採用されています。この従台車は大容量SG,耐寒耐雪構造により全重量90.5tに達した巨体を支えつつ軸重を16.8tに保つ役割を担っています。また,単機増圧ブレーキ装置を持ち重量列車牽引時に制動距離が延びるのを防止しています。SGは,SG5およびSG5-Sが採用され,6m3の大容量水タンクを備えています。主電動機はMT52A,吊り掛け式,歯車比1:4.44,出力1900kWとED75と全く同じです。耐寒耐雪構造ではパンタグラフが711系と同じ空気上昇式・下枠交差形のPS102Aが採用されています。また,LA105避雷器,CB103D空気遮断器などの特高機器を室内に取り込み,ジャンパ連結器,砂まき管,空制部位へのヒータ設置を行っています。運転室前面窓はデフロスタを廃止し,熱線入りガラスを採用していることが特筆されます。また,端面1・4位の貫通扉横にAW5気笛が装備されているところが目立ちます。スカート部にはKE70HDジャンパ連結器栓受が1個ずつ両栓式に配置されています。

ED76 510-522 昭和43(1968)年度第4次債務で,神居古潭トンネルの完全無煙化を狙いとした函館本線滝川-旭川間電化開業用として誕生しました。仕様はED76 501-509号機とほぼ同じですが,低圧タップ切換器に若干の改良が見られ,LTC-4Aとなっています。また自動連結器の枠材が低マンガン鋼から連結器用鋳鋼に変更されている他,ATS警報持続装置,ATS電源未投入防止装置などを新設,主電動機用電動送風機が50・60Hz共用のMH3057-FK91Bに置き換えられています。

機関車番号 製造所 発注区分名 発注名目 仕様変更点
ED76 501 ED76 502 ED76 503
ED76 504 ED00 000 ED00 000
東京芝浦電気 昭和42年度
第2次債務
函館本線小樽-滝川間電化開業用 ED75 501ベースにSG搭載, 全長18.4m, 貫通扉脇にAW5タイフォン装備
ED76 505 ED76 506 ED76 507
ED76 508 ED76 509 ED00 000
三菱電機・三菱重工
ED76 510 ED76 511 ED76 512
ED76 513 ED76 514 ED76 515
ED76 516 ED76 517 ED76 518
ED76 519 ED76 520 ED00 000
東京芝浦電気 昭和43年度
第4次債務
函館本線滝川-旭川間電化開業用 低圧タップ切換器LTC-4A, 自動連結器の枠材を連結器用鋳鋼に変更
ED76 521 ED76 522 ED00 000 三菱電機・三菱重工

ED76 501
No.18-11
1983年8月22日
ED76 501
函館本線 小樽
小樽駅構内で入換中のED76 501。東京芝浦電気において1968年8月11日に落成し,岩見沢機関区に新製配置されています。
(2023/03/03ワイド化)
ED76 503
No.17-19
1983年8月20日
ED76 503 荷46レ
函館本線 岩見沢
雨の岩見沢でコンテナ列車に道を譲る北のナナロク牽引の荷物列車。前パンタが上昇しています。フィルムはISO200のKodak Ektachrome E200 (ED)というポジフィルムで粒子の荒れが目立ちます。503号機は東京芝浦電気において1968年9月6日に落成し,岩見沢機関区に新製配置されています。この荷46レは旭川17:12発,19:11岩見沢19:27→20:07苗穂着のダイヤで運転されていました。
(2022/03/09 ワイド化)
ED76 506
No.17-19
1983年8月14日
ED76 506+50系51型
普通列車
函館本線 張碓

断崖の迫る張碓駅にて。この位置からだと残念ながら海が入りませんでした。506号機は,三菱電機・三菱重工において1968年8月13日に落成し,岩見沢機関区に新製配置されています。
(2023/03/03ワイド化)
ED76 509
No.D200_090817-108
2009年8月17日
ED76 509
小樽市総合博物館(手宮)


第1ロット最終号機である509号機が手宮に保存されています。かなり色あせており,貫通扉の下部など,腐食が進んでいる様子です。
(2009/08/20追加 2023/03/03ワイド化)
No.D200_090817-109
2009年8月17日
ED76 509
小樽市総合博物館(手宮)


ステップがついており車内を見学できます。
(2009/08/20追加 2023/03/03ワイド化)
No.D70s_090817-71
(息子撮影)
2009年8月17日
ED76 509
小樽市総合博物館(手宮)
息子が線路側からの写真を撮っていたので掲載しました。現役時代の運用スタイルに従って,進行方向側のパンタグラフを上昇させています。
(2009/08/20追加 2023/03/03ワイド化)
No.D70s_090817-72
(息子撮影)
2009年8月17日
ED76 509
小樽市総合博物館(手宮)
ED76 509号機のブロック式ナンバープレートと昭和43年,第958号の刻印がある三菱電機・三菱重工のメーカーズプレート
(2023/03/03追加)
ED76 512 ED76 522
No.18-8
1983年8月22日
ED76 512,ED76 522
函館本線 小樽
雨の小樽駅で並んだ2両は昭和43年度第4次債務により製造されています。ED76 512号機は東京芝浦電機にて1969年6月20日に落成,一方ラストナンバー522号機は三菱電機・三菱重工にて1969年7月2日に落成し,両機とも岩見沢第2機関区に新製配置されています。
(2023/03/03ワイド化)
No.149-21
1987年8月
ED76 512+50系51形
普通列車
函館本線 札幌
50系51形レッドトレインを牽引して札幌に進入するED76 512号機。
(2009/03/22追加 2022/09/16ワイド化)
ED76 520
No.148-16
1987年8月
ED76 520+14系
函館本線 札幌
三脚を持って行かなかったので駅の柱にカメラを押し付けて手持ちバルブ敢行,なんとか止まってくれました。ED76 520号機は東京芝浦電気担当の最終ナンバーとして1969年8月30日に落成し,岩見沢第2機関区に新製配置されました。
(2023/03/03ワイド化)
ED76 522
No.18-9
1983年8月22日
ED76 522
函館本線 小樽
小樽駅中線に停車中の500番台ラストナンバーED76 522号機。一番まともな写真。ラストナンバーED76 522号機は三菱電機・三菱重工にて1969年7月2日に落成し岩見沢第2機関区に新製配置されています。
(2023/03/03ワイド化)

 2004年10月17日 作成開始
 2005年4月24日 ページ新設
 2005年5月1日 キャプション更新
 2009年5月31日 キャプション追加,番台毎分離
 2009年6月7日 キャプション追加
 2022年9月25日 Safariでの表示不具合修正
 2023年1月24日 形式一覧表をページトップに移動
 2023年3月3日  キャプション欄左右入替完了
 2023年3月3日  写真ワイド化完了
 2023年3月3日  形式一覧表に製造年,仕様変更点を追記
 2023年3月3日  形式一覧表の機関車番号から写真へのリンク設置


■参考文献
 藤本勝久 交流・交直流電機出生の記録 11 鉄道ファン332 1988年12月号 交友社 (ED76 501-509)
 藤本勝久 交流・交直流電機出生の記録 12 鉄道ファン336 1989年4月号 交友社 (ED76 501-509)
 藤本勝久 交流・交直流電機出生の記録 13 鉄道ファン337 1989年5月号 交友社 (ED76 510-522)

基本番台 500番台 550番台 1000番台

Kano鉄道局TOP 蒸気機関車 電気機関車 ディーゼル機関車 客車 電車 気動車 新幹線